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2024年問題から1年経過した今の現状は!?

2025.08.06


 こんにちは!日野コンピューターシステムのブログへようこそ。今日は「2024年問題」について考えていきたいと思います。ドライバーへ残業時間上限規制が初めて適応され、労働力不足・輸送力不足が深刻になるといわれる問題ですが、1年経ってどうなっているのか?どのような規制がされたのかも含めてみていきたいと思います。


1. 2024年問題について

 そもそも「2024年問題」とは、ドライバーなど複数の業種に残業時間の上限規制を適用することで、さまざまな問題が起こることを指します。ドライバーを長時間労働から守る法律なのに「問題」と言われてしまうところが非常に皮肉です。2024年4月に、物流や建築、そして医師に残業時間の上限が課せられました。ほかの業種では中小企業も含めて2020年に課せられた残業時間の上限規制ですが、影響が大きいとして一定の猶予期間が与えられていたのがこの3業種です。これらの業種は担い手の長時間労働に依存して成り立っていたため、残業時間が規制されることでその機能が大きく低下すると予想されていました。「物流の2024年問題」といわれると物流業界だけの問題と思われがちですが、社会全体への影響があるためにクローズアップされたのです。ドライバーは、他産業より2割労働時間が長く2割給与が安いといわれてきました。そのような状況を放置しつづければ、担い手不足になるのは目にみえています。物流企業の中では、労働時間上限規制をうまく活用すれば、この環境にテコ入れできるという期待もありました。

では、具体的にどのような規制が課せられたのかを見てみましょう。
 1年の拘束時間(労働時間と休息時間のすべてを合計した時間)が原則216時間削減されて3300時間となりました。また努力義務ですが終業から始業までの間を継続して11時間を開けることを原則とし、9時間を下回らないよう定められました。一方で、4時間ごとに30分の休憩をとるといういわゆる430の規定は、休憩所がない場合など最大4時間半までの延長が認められるようになり若干の運用の弾力化が図られた一方で、これまでの「運転をしなければよい」という時間から「原則休憩」へと変更されました。NX総合研究所や野村総合研究所が出した試算によると、労働時間規制の影響で2030年には30パーセント程度の輸送力が不足するとみられています。これらの試算は、人口減少による輸送量の低下なども織り込んだ上での数字であり、どれだけ影響が大きいか分かります。本来官民で対策を進めるために4年の猶予期間が設定されていましたが、新型コロナウイルスの流行期と重なってしまい、目立った対策は講じられないまま2024年を迎えることとなりました。



2. 2024年問題から1年経過した現在の状況

 2024年4月から1年以上が経過した現在、影響はどうだったのでしょうか?
 結論から言うと政府は3月14日に開いた物流革新に関する関係閣僚会議で「物流の深刻な停滞は(現時点では)起きていない」としました。物流の専門紙『輸送経済』から引用します。

政府は14日、首相官邸で物流の関係閣僚会議を開き、昨年4月に適用されたドライバーの残業上限規制に伴う輸送力不足の影響を確認した。国土交通省が直近のデータを基に施策の実績を分析した結果、積載効率の向上や荷量減少の影響などで、現時点で懸念された物流の深刻な停滞は起きていないとした。(3月25日号2面)

 政府の分析では、混乱が起きなかった要因として、輸送量の減少も少なからずあったとされています。また、物流業界が長年解消を訴えている荷待ちの問題はまったく解決に向けて進んでいないとされるなど、課題も大きく残った1年でした。
 続いて、現場からの声も見ていきます。全日本トラック協会が昨年11月に行った調査の結果です。こちらでは、時間外労働の上限規制を守れるかどうかの見通しを聞いたところ、「全ドライバーが順守できる」「大多数のドライバー順守できる」の合計が90.2パーセントとなっていました。この調査では、課題となる長距離輸送を主な業務とする企業の回答は11.6パーセントとなっていることに留意が必要です。足元では、順守することによって稼げなくなったドライバーの離職も増えていて、管理職などがカバーして何とか維持しているケースもあると聞きます。労働時間規制は、今後も続いていきます。今後は、行政による監査なども始まり、影響がでるのはむしろこれからではないかともいわれています。

3. おわりに

 いかがでしたか?今回は2024年問題の影響について振り返ってみました。労働時間の把握は今後も必要不可欠になりそうですね。日野コンピューターシステムでは、物流企業のみなさまのニーズに応える各種デジタルソリューションを提供しております。物流業界の発展に、今後も寄与していけるよう努力してまいります。


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※情報は執筆時のものです

この記事を書いた人
日野コンピューターシステム株式会社  ソリューション推進部 重藤

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