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運送業・製造業の”夏のリスク”に備える:熱中症対策の義務化とその対応ポイント

2025.07.01


 日野コンピューターシステムのブログへ、ようこそ!最近は、6月から気温がぐんぐん上昇していきますね。暑い夏が早くもやってきています。今回は、熱中症と2025年6月から企業に対し義務化もされた、「熱中症対策」について、みていきたいと思います。


1. 物流業界における熱中症のリスク

 運送業界は、屋外の仕事が中心で、熱中症になるリスクを多くはらんでいます。厚生労働省によると、2024年の運送業の熱中症による死傷者数は186人。建設業、製造業に続く3番目の多さです。運転中に発症すると、他者を巻き込む事故になる可能性もあり、十分注意しなければいけません。物流業のここ数年の発症事例をみていると、運転中や積み込み、ピッキング、流通加工の作業、玉掛け、ピッキングなどあらゆる場面で熱中症が起きていることが分かります。これは他の業界にも言えることですが、真夏だけでなく、季節の変わり目で急激な気温変化が起きる時にも危険性が高まる傾向があり、早ければ5月上旬から危険性は上がってきます。
 最近ですが、田んぼにいたアメリカザリガニが大量に死んでいるというネット記事を見ました。アメリカザリガニは非常に強く、駆除しにくい外来種と言われていましたが、恐らく気温の急上昇に耐えられずに茹で上がってしまったと考えられているそうです。ここ近年ですが、日本にも温暖化の影響が出てきているようです。



2. 熱中症について

 では、熱中症はどのような原因でなるのでしょうか。厚生労働省の熱中症予防サイトによると「熱中症とは、高温多湿な環境下で、発汗による体温調節等が うまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態をさします。屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、場合によっては死亡することもあります」となっています(7月1日閲覧)。物流業界でも先述のように、ドライバーや倉庫などの作業員など、あらゆる場所で毎年多くの発症者が出ています。症状としては、めまいや立ちくらみから重くなれば死に至る場合もあります。高齢者だけでなく、寝不足や二日酔いなどちょっとした体調の変化で発症のリスクが高まる〝誰にでも起こりうる病気〟です。正しく知って予防することが必要となります。


3. 熱中症の予防策

 熱中症を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか? 熱中症のなりやすさを判断する指数に暑さ指数「WBGT値」があります。数字は日本での気温と同じく摂氏度(℃)で表されますが、単なる外気温だけでなく、湿度や日差し、地面や建物からの反射熱などの周辺環境も加味した数字で、おおざっぱに「暑さ指数が高いほど熱中症になりやすい」と理解すればよいかと思います。暑さ指数が25を越えると警戒が必要で、31を越えると安静にしていても熱中症が起こる危険性があります。暑さ指数は、先ほども上げた厚労省の熱中症予防サイトで検索・確認ができます。温暖化が進みさらなる高温多湿の環境となっている日本では、どこでも警戒が必要になっています。


4. 熱中症予防策の義務化

 厚労省は2025年6月から、企業に対して熱中症の防止策を取るよう義務付けました。熱中症による死亡災害が増加していることを受けた措置です。具体的な法文は、

1,熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、「熱中症の自覚症状がある作業者」又は「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」が、その旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること

2,熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順(緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること

となっています。熱中症が原因の死亡は、初期対応の遅れが理由であることが多いため、早期発見・処置を行い、死亡に至るような重篤な被害を防ごうということです。具体的には、熱中症を防ぐために1人での行動をなるべくさせないことや、現場の見回りなどの体制を整備することを求めています。また、それ以外の対策として、ウェアラブル端末などを活用して、異常があった場合に管理者などに通知が行くようなシステムの活用も例示されています。いずれにせよ早期発見が大切で、その上で、対応者への連絡や発見時の初期対応を周知し、重症化を防ぎます。ちなみに熱中症が生じる恐れのある作業とは、「WBGT値28以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間以上作業を行うことを見込まれる現場」となります。該当する事業所は、手順書の作成・周知や連絡体制の整備を行わなければいけません。物流企業の多くも、この条件にあうことと思います。必要な措置をとっているかどうか、今一度確認してみてください。


5.熱中症を見守る「Nobi for Driver」

 日野コンピューターシステムでは「Nobi for Driver」というウェアラブルウォッチを活用し、熱中症リスクを感知できるサービスをご紹介できます。

 こちらは従業員の方にウェアラブルウォッチを装着していただき、熱中症や眠気のリスクを感知すると本人と管理者の方へ通知するといったサービスとなっています。熱中症は本人も気付きにくいため、この機会にこういったウェアラブルを活用したデジタルサービスを活用するのも検討されてはいかがでしょうか?



6.おわりに

 いかがでしたか? 年々熱くなる中、熱中症は物流企業が抱えるリスクの一つになりつつあります。適切に対処して、今年も暑い夏を乗り越えたいですね。日野コンピューターシステムは、物流企業のさまざまな困りごとに対応するべく、多くの企業との連携も行っています。どんな悩みでも一度ご相談ください。
 

関連商品:Nobi for Driverコネクティッドデータサービス

この記事を書いた人
日野コンピューターシステム株式会社  ソリューション推進部 重藤

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