ビッグデータを活用した運送における効率的な中継地点の予測について
こんにちは、日野コンピューターシステムのブログへようこそ。
2024年問題の解決策の1つとして「中継輸送の導入」があります。
今回は、長距離輸送の中継地点においてビッグデータを活用することが、物流や輸送効率を高めるために欠かせない要素であることを解説します。
1.中継輸送とは?
中継輸送は、1つの輸送工程を1人のドライバーが運転し続けるのではなく、複数のドライバーで分担し、集荷エリアと納品エリアの途中に設置された中継地点を経由して荷物を移動させる方法です。これにより、ドライバーの負担が軽減され日帰り勤務が可能になります。2024年からドライバーの一日の運転時間と労働時間の制限がされるようなったため、注目されるようになりました。
また、時間外労働の上限規制にも対応し、女性や高年齢層が働きやすい環境を提供する「ホワイト物流」の一環としても注目されています。
2.中継地点とは?
中継地点とは物流や輸送の途中に設けられた地点で、主に荷物の仕分けや一時保管、さらには輸送手段の変更を行う場所です。
荷物や運転手の「休憩所」や「切り替えポイント」といった役割を果たしています。これにより、輸送の効率を高め、無駄を減らすことができるのです。
中継地点の設置場所が不適切だと輸送時間が延び、コストが増加するだけでなく、無駄なエネルギーを消費することになります。
そこで、ビッグデータ、ここではコネクティッドデータを分析することで「どこに中継地点を設置するべきか?」への活用を紹介させていただきます。
3. コネクティッドデータ(HINO-CONNECTデータ)について
コネクティッドデータとは、車両から通信して取得できるデータのことを指しています。その中でも日野自動車製トラック・バスに標準装備されている通信機から取得できるデータを「HINO-CONNECTデータ」と呼んでいます。HINO-CONNECTデータは2017年から通信しており、位置情報だけでなく、燃料消費量、急加減速のデータ、自動ブレーキの作動データといった様々なデータを取得することができています。2025年6月現在では25万台もの日野コネクティッドデータが通信しており、そのビッグデータを社会課題解決のために活用しているのは日野コンピューターシステムです。
4.HINO-CONNECTデータの位置情報(ビックデータ)活用の重要性について
HINO-CONNECTデータを活用することで、最適な中継地点を選定し、物流全体を効率化することができます。以下にその理由を説明します。
4-1)輸送ルートの最適化
中継地点の選定において最も重要なポイントの一つは、輸送ルートの最適化です。過去のビッグデータを活用することで、過去の道路の混雑状況や経路を分析できます。このデータをもとに、過去に最も効率的だった経路を分析し、未来ではどういったルートを通ると効率的かを算出することで無駄な時間やコストを削減することが可能になります。
4-2)中継地点の設置場所、物流センターの規模と立地条件
移動の発着地点を分析することを「OD分析」といいます。データをOD分析し、ある地点から何時間後にどれだけ移動できるかを可視化することができます。これにより、最も需要が高い場所や時間帯別に最適な中継地点を予測することができ、そこに設置することで、効率的な荷物の集積・分配が実現できます。
さらに、物流センターの規模や立地を最適化するために、各エリアの通行している車の量や車の流れを分析することも可能です。そうすることで、輸送効率を高め、ドライバーの拘束時間を減少させ、日帰り配送が可能になり、効率的で負担の少ない輸送範囲を構築することができます。
4-3) 環境への配慮
物流における環境への配慮も重要な課題です。最適化された輸送ルートと中継地点の設置により、無駄な走行距離が減少し、CO2排出量の削減になります。また、HINO-CONNECTデータを活用すれば、燃料消費量から正確なO2排出量を算出することができ、カーボンニュートラルに向けた施策検討に活かすことも可能です。
5.まとめ
中継地点を最適化するためにHINO-CONNECTデータを活用することで、物流業界の効率化が進み、コスト削減や時間短縮の実現が可能です。
データを活用して、輸送ルートや中継地点の選定を柔軟に行うことで、企業は競争力を高め、持続可能な物流の構築に貢献することができます。
テクノロジーとデータ分析の進化により、物流業界はますます効率的で環境に優しい方向へと進んでいくことでしょう。
今後とも日野コンピューターシステムをよろしくお願いいたします。
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この記事を書いた人
日野コンピューターシステム株式会社 ソリューション推進部 髙木