ブログ

石坂産業株式会社の取り組みから学ぶ~ブランディングにつながるサステナビリティ経営とは~

2025.05.26


 こんにちは!日野コンピューターシステム株式会社(HCS)のブログへようこそ。

 今回は、「ブランディング」の参考となる企業様を紹介させていただきます。ブランディングは
toCビジネスを行っている企業、比較的規模の大きい企業が考えることと思われがちですが、
情報に溢れた現代においてはどの企業にも重要な要素となってきました。

 近年、環境配慮や持続可能な経営が企業の競争力向上に直結する時代となっています。
財務的な成長だけでなく、環境保護や社会貢献、透明性のある経営が求められており、
その中でも、日本の産業廃棄物処理業界において、環境への取り組みを経営に組み込み、
見事な改革を遂げた企業のひとつが石坂産業株式会社です。私がこの企業を見学し、
そこで感じたことについて共有させていただきます。

 本企業は、埼玉県三芳町に本社を構える廃材処理・リサイクル企業です。1967年の創業以来、
建設廃棄物の中間処理を主な事業としてきましたが、2002年の経営体制の刷新を機に
「ごみをごみにしない社会」を目指して事業を転換。敷地内に地域と共有する花木園「くぬぎの森」を
整備し、自然と共生するリサイクル工場へと生まれ変わりました。

 同社が掲げるビジョン「Zero Waste Design」は、限りある資源を未来へつなぐ循環型社会の実現を
目指すものです。地球規模の課題に対し、単なるCSR活動ではなく、共感を呼ぶビジネスとして課題解決を図る姿勢に、私は深く共感し、今回の工場見学への参加を決めました。


1. サステナビリティ経営が企業ブランドを強化する理由

 石坂産業に到着してまず驚いたのは、工場の入り口でパンが売られていたことです。工場見学というと、無機質な施設や大きな機械をイメージしがちですが、ここではまるでおしゃれなカフェのような空間が広がっていました。
 実際にこのパンやカフェで提供される料理には、リサイクルで再生された里山の土壌で育った卵や野菜が使われているとのこと。廃棄物処理業の枠を超え、循環型ビジネスを体現していることを最初から感じさせられました。

写真1:見学の受付を行う建屋でパンが並んでいる様子


 一般的にリサイクルと聞くと「資源を再利用すること」というイメージが強いですが、実際には経済的価値が高いものだけがリサイクルされるという現実があります。リサイクルの本質は「単なる廃棄物の再利用」ではなく、製品の設計段階から資源循環の仕組みを組み込むことが重要です。石坂産業は、その視点から、透明性のあるプロセスと教育を通じて、より効果的な資源循環を実現し、その考え方を広めていると感じました。

写真2:見学者からのメッセージを記載したホワイトボード。海外の方のメッセージも目立ったのが印象的

 このような取り組みは、企業のブランディングにも直結します。環境に配慮した事業活動を行うことで、消費者や投資家、取引先からの信頼を獲得し、企業の価値向上にもつながると考えられます。
 
 こうした取り組みと並行し、社会的要請の高まりを背景に、多くの企業が取り組みを迫られているのがカーボンニュートラルへの対応です。気候変動対策として社会的な要請が高まる中で、企業の責任としてもますます重要になっています。温室効果ガスの排出を抑える努力は、将来的なリスク回避につながるだけでなく、持続可能な企業像を打ち出すうえで不可欠な要素です。国際的な評価指標にも影響するため、企業の将来性を示す上でも重要な視点となっています。

写真3:環境に配慮してほぼ再生可能エネルギーで動いている特注の重機



2. 資源を生かすものづくりの工夫

 日本は長年、高品質なものづくり、省エネ、そして効率的な資源活用に取り組んできました。こうした取り組みの中で重要なのが、「つくる」「使う」「回収して再利用する」という流れをできる限り無駄なく回していくことです。
 例えば、使い終えた製品を分解して素材として再び活用したり、設計の段階から再利用を想定した仕組みを考えたりと、製品ライフサイクル全体で工夫を凝らす必要があります。これにより、資源の無駄を減らし、エネルギー使用も抑えることができます。

 「循環型社会の実現」という理念から、石坂産業は独自開発の「ごみにしない技術」で建築系廃材の減量化・再資源化率98%(20年)を実現し、同業他社からも処理の難しい廃棄物を積極的に受け入れ、ごみを資源化する技術とノウハウで持続可能な社会を目指す一方で、近年は廃棄物の種類は年々複雑になり同社でも再資源化できない2%の廃棄物は新素材も含まれているそうです。環境教育からの情報発信を強化し、100%循環型社会の実現を目指しているとのことでした。

 このように、廃棄物処理で得られた知見を生かして教育や地域との連携を深める企業はまさに、社会全体で資源を循環させるビジネスモデルを築いているといえるでしょう。

写真4:再資源化された原料は、様々なリサイクル製品に生まれ変わる。

3. サステナビリティ経営とブランディングの未来

 資源循環の価値を見える形にすることは、企業ブランディングの大きな武器となります。日本の強みである「ものづくりの技術力」「省エネ技術」「高機能素材の活用」を活かしながら、少ないエネルギーと資源で最大限の価値を生み出す仕組みを構築することが求められます。

 多くの企業でさまざまな取り組みが始まってはじまっていますが、より一層、あらゆる業界で、「設計から再利用まで」を見据えた視点が不可欠になるでしょう。こうした取り組みは、今後さらに投資家やステークホルダーからの評価基準としても重視されていくと考えられます。環境配慮型のビジネス戦略は、単に社会的意義があるだけでなく、企業のブランド価値や信頼を高める経営戦略そのものになっていくはずです。

4. まとめ

 今回の見学を通じ、同社のビジョン「Zero Waste Design」を実際のビジネスモデルに落とし込み、経済的価値と社会的意義の両立を果たしている点は多くの企業にとって学びが多いと感じました。サステナビリティ経営の実践は企業の信頼を高め、ブランド価値を構築するうえで欠かせない戦略だと思いました。

 サステナビリティや環境ビジネスに興味がある方は、ぜひ、石坂産業の工場見学を体験してみてください!
 なお、HCSは5月28日から開催されるNEW環境展に出展いたします。日野コネクティッドデータを活用したカーボンニュートラルに関連する商品についてご紹介する予定です。ぜひお越しください。

詳細はこちら:石坂産業 公式サイト


関連商品:日野コネクティッドデータサービス

この記事を書いた人
日野コンピューターシステム株式会社  ソリューション推進部  岡部

ブログ

HINO DXソリューションの
サポートチームが
無料相談やデモ依頼を受付中!
お客様の業務のお困りごとを
ご相談ください。

無料相談